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このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

You and Me

Holly Conlan「You and Me」がリリースされました。
僕がマスタリングをしています。

ホリー・コンランはアメリカのシンガー・ソングライター、作風やルックスはどことなくローラ・ニーロに似たものを感じます。
この「You and Me」は日本独自企画のデビュー盤で、2007年に本国でデビューしてからの輸入盤3枚と iTunes でリリースされた曲からセレクトされたアルバムです。

日本でのレーベルはヤマハミュージック&ビジュアルズ、担当のTさんとは付き合いも長く、今年は Saravah レーベルの再リイシューなどでもご一緒してます。 Tさんから「葛巻さんの得意なアコースティック系女性ヴォーカルだから」と言われ楽しみに音源を受け取ったのですが、この輸入盤、ちょっと僕にはきついマスタリングに感じました。
下の写真が M05_OK の輸入盤の波形、やはり若干詰め込み過ぎなように見えます (写真をクリックすると拡大します)。

ミックス・テクニック99・セミナー開催!

10月

新しいモニター・スピーカー KEF R300

16枚目

9月

ELECTRICITIZ 「Orange Metallique」

ロンドン五輪を観て

8月

カンタベリー経由、英国ジャズ・ロックの最高峰

DAD AX24

7月

エリアーナ始動

スタジオ・エリアーナ

6月

ピアノ録り その2

5月

いつものようにマスタリング前の仕込みでは api 3124+ → JOEMEEK SC4 → t.c.electronics Finalizer Plus と経由させて再度 Pro Tools に戻し、その Auxトラックに PSP Vintage Warmer の自作マスタリング用プリセットをかけて録音したのが下の写真です。
これは数年前からマスタリング前の仕込みでは必ずやる行程で、僕の著書「マスタリングの全知識」でも紹介していますが、最近では Vintage Warmer を甘がけしたもの、さらに Vintage Warmer をかけずに取り込むものと、計3種類の仕込みファイルを作るようになりました。
下の写真を見てもわかるように、この仕込み段階でピークを -6.0db 前後に落とします。 音量・音圧共に一度落としてしまうのです。

この仕込み用ファイルからマスタリングをしていきます。 まずは3種類の仕込み音源のどれが一番良い感じになるかを吟味していきますが、コンピ盤のマスタリングでは曲によってこれは1番、この曲は3番、などと複数の仕込み音源から使う方が良かったりもします。
今回の場合は Vintage Warmer をかなり甘くかけた2番とまったくかけない3番からのセレクトになりました。
次に、ミックスやマスタリングでは今年から TK Audio BC1 mk2 というコンプをインサートしコンプ音を4割ほど生音に混ぜるようになりましたが、それをやるかどうかを吟味、今回の場合は既に一度アメリカでマスタリングされている音源ということもあり、BC1 を挟むと太くなり過ぎるので使わずに進めました。

そうして出来上がったマスタリング済み最終ファイルの波形が下の写真です。 不思議なことに、輸入盤で積み込み過ぎたダイナミクスがだいぶ戻り、アコースティックな雰囲気にすることに成功しました。
アコースティック系とはいえいろんなジャンルの要素を混ぜていたり、今っぽいサウンドにするということで元のマスタリングもある程度狙っているのだと思いますが、それにしてもやり過ぎな感じがしたのでこの日本盤ではアコースティックでありながら、ちゃんと 2012年の香りがするような絶妙なダイナミクスになったと思います。

最終的には「こうなると良いな」というサウンドに落ち着いたものの、簡単にそこに到達したわけではなく、何度もチェックして3回ほどマスタリングをやり直しています。

今年になってから導入した Wagnus のケーブル類や KEF のモニター・スピーカー R300 などのおかげでマスタリングのダイナミクスや奥行き感はさらに向上し、いくつかの可能性と共に新しいサウンドを提案できるようになったと思います。

「You and Me」、今年の僕のマスタリングの自信作です、ぜひ聴いてください!