★ welcome to this page daisy <kuzumaki.net

このページでは音楽制作エンジニア、葛巻善郎日々の出来事をつづります。

Guitar Bird

事務用の iMac のクラッシュによって1ヶ月半ほどホームページの更新が出来ませんでしたが、再開できた折には日記の最初の記事はこのアルバムの紹介にしようと決めていました。

シンガー・ソングライター 深谷亮人さんの「Guitar Bird」

深谷 亮人 オフィシャル・サイト

http://sound.jp/akito-f/

最初に深谷さんからメールをもらったのは昨年の11月末、そして今年最初のお客さんとして年明け早々にここ Studio CMpunch に来てくれました。
このアルバムは全12曲、全てのソング・ライティングとレコーディング、ミックスを深谷さん本人が手がけています。
曲・アレンジ、そしてレコーディング・ミックスまで全てがあまりに素晴らしいので、思わずどうやってこれを作ったのか、マスタリングしながらいろいろと聞いてしまいました。
簡単に言ってしまうとアコースティック・サウンドなのですが、最初にギターと自身の歌を録り、それからドラムやベースその他の楽器を重ねていったそうです。 通常はドラムとベースから録ることが多いので若干イレギュラーな手法ではありますが、音楽とは自由な芸術表現、その作り方に決まった方法などありません。 自分の好きなようにやれば良いのです。
録音が終わってからも自身の手でひたすらにミックス、その時彼は僕のミックス本を大いに参考にしてくれたそうです。 そして僕がマスタリングすることをずっとイメージしながらミックスしていったそうです。

5月

iMac 買い替え

4月

4年に一度

夢で逢えるから

3月

ヴィジオネール

ジャズ・アルバム

2月

新しいヘッドフォン

機材クリーニング

1月

謹賀新年

プレイバック 2012 - 3

プレイバック 2012 - 2

プレイバック 2012 - 1

なるほど、それでまるで自分がミックスしたみたいなサウンドなのだなぁ、と思わず嬉しくなりました。 こういったケースは実は今までにも何度かあるのですが、皆さんコンプの使い方や奥行きの作り方、ディレイ&リヴァーブの使い方を実によく理解してくれています。

自分がミックスした曲のマスタリング作業というのはほとんどやることが決まっており、よってこの「Guitar Bird」のマスタリングもまったく迷うことなく、最短の時間で仕上げました。
年末に Wagnus からライン・ケーブルが何種類か届き、全てのケーブル類が Wagnus 化を果たしたこともあり、そのサウンドは素晴らしくリアルで、グッとグッときます (本人談)。
ようやく自分の理想のサウンドを作り上げることが出来るようになった、その記念すべき最初のアルバムであるとも言えます。

ここ2年ほど、「DAW レコーディングとは何か」ということをずっと考えていました。 たまたま同じようなタイミングで宮地楽器でセミナーの講師をすることになり、さらにその研究心は学問的なものとしていずれきちんと発表出来るよう、日々自問自答しています。 このことはまたの機会に書いていきますが、1960年代に始まったアナログ・レコーディング、そして80年代のデジタル・レコーディングの延長線上にありつつも、DAW レコーディングというのはいくつかの点において決定的な違いがあり、まったく新しい手法であるとも言えるのです。 深谷さんが自分の演奏を基にしながらも現実ではない音をコラージュとして使ったり、何日も何ヶ月もかけて一人で作り上げることが出来たのも DAW レコーディングだからなのです。

しかしながら、最終的に僕らは耳でしかその音楽を聴くことは出来ない、これは究極のアナログ機器です。 いくらデジタル技術が進歩したって、最終的に感動するのはアナログの部分なのです。 最新のソフトウェアやプラグインを使い、これ以上ないと言えるほど理想的な機材環境を作り、しかしそれでも大事なのは気持ちなのです。
深谷さんのいろいろな熱い思いが積み重なってできているこの「Guitar Bird」、マスタリングというレコーディングの最終工程において僕のスピリットをほんのり加えることが出来、光栄な限りです。

歌が言葉がまるで目の前で歌っているかのように聴こえ、そしてギターを始めとした各楽器類もそれぞれの役割を奏でている、懐かしいようで今まで聴いたことのないサウンドがそこにあります。
ちょうど20年かけて、僕はこのサウンドを形作れるようになった、機材へのこだわり・技術のこだわり、いっぱいいろいろなことをしているけど、そんなことはどうでも良いのです。

大事なのは気持ちだから。

そして僕らは自己満足に浸るためにこの「Guitar Bird」を作ったわけではない、一人でも多くの人に聴いてもらえたらな、何かを感じてくれたらな、と思います。

あ、もし amazon などで買ってくれるなら、一人一枚で充分ですよ。
大事なのは「何枚買うか」ではなく、「何回聴いてくれるか」ですからね、まあ当たり前ですが。
そしてこのアルバムにはもちろん握手券などは付いておりません。 握手って売るもんじゃないですよね、まあ当たり前のことですが (^_^;)